-改正経緯をふまえた実務の視点-
第一 改正法成立に至るまでの経過について
平成29年5月26日に成立した「民法の一部を改正する法律」は、平成29年法律第44号)により、「民法」(明治29年法律第89号)が債権編を中心として改正され、相続税法以外にも、市民生活に大きな影響を及ぼすものであるということです。
第二 制度目的について
先に述べました、最高裁判所大法廷の違憲決定を契機として、配偶者保護をその目的とするものであるということです。そのために、改正法の骨子として、次のようなものが新設又は見直しされました。
1 生存配偶者を保護するための制度の改正等について
(1)配偶者居住権制度の新設
(2)配偶者短期居住権制度の新設
(3)持戻し免除の意思表示の推定規定
2 これまで実務上で争いがあったり、問題点として挙げられてきた点についての解決方法等について
(1)相続の効力等に関する見直し
(2)遺産分割等に関する見直し
3 遺産制度の見直し等について
(1)自筆証書遺言の方式緩和
(2)遺言執行者の権限の明確化の新設
(3)遺言書保管法の創設
(4)相続人以外の者の貢献への考慮
以上のような相続制度の改正がありましたが、平成27年に相続税の基礎控除額が引き下げられて以来、相続税の申告対象者が大幅に増えている一方、万一の時に慌てないよう、ご自分の財産を確認するとともに、相続税の基本を押さえ、かつ、ご自分に合った制度の活用のための準備をなされることをお勧めします。